映画の内容バラしております。
主演 : チョ・スンウ
http://www.marathon-movie.com/
この映画はどうしても観たいとオモウ映画
ではなかった。
ハッキリ言って障害を持つ人を取りあげた映画は嫌い。
それで涙を誘うことに抵抗が昔からあった。
その障害のことを世の中の多くの人に理解してもらって
そこから何かがはじまるきっかけになったら、映画としては
素晴らしいと思うけれど、
なぜか しっくりこなくって・・・。
子ども、動物もんも涙が出やすいからごめんだ。
これら以外で勝負したものを観たいんだよな。
韓国の映画祭でこのチョ・スンウさんが
主演男優賞をもらった。
ビョンホンも候補にあがっていたのに・・・。
まぁ、負けたというか、、、
私のやっかみだろうか?スンウはんが
どない素晴らしいのか確認したかった。
それとおすぎさんが絶賛やったで~という娘の言葉に踊らされて
いそいそと出かけたわけです。
この人はラブストーリーを観たときに ちょいと好きになりかけた。
だから好感は持っているんだ。
あの薄っぺらい顔、ハン・ソッキュと通じた所があって 結構好みだ。
存在感なさそうで、ジワジワと心が占領されているんだよな。
いつしか忘れられなくなっている。
(みんしくおっさんは好みからしたら例外)
障害をテーマにした映画は 感動、きれい事ですまされると
本当はもっと残酷なのに、、、、
心の中にはタブー視されたドロッとしたものがあるはずなのに、、、
と中途半端さがみえ、白けてしまう。
このマラソンは見えすぎてしまって 私の方が目を背けたくなった。
現実が 被る。 育ててきた(私の方が育てられているんだけどね)
子どものことがチラチラ浮かび、のめり込むじゃまをする。
母親にはしんどい映画。 結局は自分のエゴだったり、苛立ちが
まざまざと表に出ていて・・・。
子どものためによかれと思って敷いたレール、
それに忠実に乗せて走らすのが母親の役目と信じ、子どもがどんな気持ちで
それをやろうとしているかなんて考える余裕などなかったというか、
感じていても こうするのがあの子のシアワセなんだからと信じていた。
つらい気持ち、犠牲にしてきたことが積み重なって
にっちもさっちも いかなくなっても やり直しなんてできないのに。
母親と障害を持つチョウォンの関係がよく描かれていた。
よく描かれすぎていて 私が子どもにしてきたことが蘇りつらかったな。
子どもは母親に良く思われたくって一生懸命生きている。
なんであの時 イヤだって 言わなかったの?って親は簡単に言ってのけるが
子どもにとってそんなことは出来ないことなんだろう。
『 チョウォンより一日だけ長生きしたい 』
というのが母の夢。
母親が手をかけない限り、こんな事は夢の夢だろう。
そんなこと母はわかっている。
でも心の中からふりしぼって出てきた 切実な願い。
しかしこの母さんはチョウォンが子どもの頃、動物園でチョウォンを捨てている(心情的に)
チョウォンはこのこと覚えていたんだ。
チョウォンと母の描かれ方に対し
チョウォンとマラソンコーチの交じわりに物足りなさを感じた。
特に心が通じ合ってから。
もう少し描いて欲しかったな、理由はこっちの方が安心して見ていられるから。
自分勝手だね。
一緒に走ったコーチにお水を差し出すシーンは誰もが好きなシーンだろう。
自分の食べ物は自分だけのもので、分け合うことをしない、必ず一人で食べるチョウォン。
その代わり コーチの食べ物にも絶対手を出さない。
そんなチョウォが水を差し出す・・・・ 心が通い合った瞬間。
深く深く気持ちが通い合わないとチョウォンはそんなことしない。
いや、それだけじゃなくチョウォンも成長したんだろうね。
私も一番好きなシーン。
こういう演出上手いなって思う。
言いたいことを露骨に表すより モノ を通じて、ぐっと心に入り込んでくる。
少し前の 「シルミド」 では アメ と水 にヤラれたって感じだ。
このコーチ、甘い人生の帽子とメガネの男、
「く~にゃん か~ら~」ってソヌに言われた
ムソンなんだよ。
最初はひでぇ、コーチなんだけどね。
なかなか優れたヤツなんよ。
まぁ、最初からミエミエなんだけど。
フルマラソンで完走したチョウォン。
あれほど好きだったチョコパイもいらない、こだわったメダルもいらない。
本当にマラソンが好きになった。
「家に帰ろう」
はじめて心の底から家に帰りたいって思ったんだろうな。
やっと安らげる場所になったんだろう。
重いこともドロッとしたことも描かれてあり、
母親だけでなく、家族のつらさなどもきちんと出ていたのに
思いのほか爽やか。チョウォンの無垢さと ちりばめられたユーモアが
爽やかさを生んでいるんだろうな。
見終わったあと 心が重くならなかった。
子どもも観ることができる。
この辺がおすぎ絶賛の理由かな。
せやけど草原走ったり、地下鉄走ったりするのは(空想だけど)引いてしまったけど。
言いたいことは私にもわかるが。
韓国映画ではこの手のシーンをよく見かける。感覚のズレだろうか。
はて?と思うこともあるんだよね。
僕の彼女を紹介します のラストだって、、、。
甘い人生には 無かった。ノワールもんやから当たり前だけどジウン監督は
世界に通じるわ。
ソウルの風景がなんともいえなく イイんだ。
肝心のチョ・スンウさんの演技。
熱演にも見えないし、名演技とも思えない。
あれだけのことを力まず自然に、、、というか
そこそこ力んでも嫌味にならず、やってのけるには
大変な苦労があったに違いない。障害者を演じるにあたってそういう人に
失礼なことになってはいけない・・・なんてことも考えるだろう。
熱演にも見えないし、名演技とも思えない と私が感じたのは
最高の褒め言葉になるのかもしれないな。
そうか ただ似合っていただけか。
私としてのオススメ度は普通かなぁ。
映画を観たらちょこっとでも心動かされる俳優さん(男)に
出会えると嬉しくなってしまう不届き者ですさかい。